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ファイナンス
ライフスタイル分析
プロジェクト
1.技術戦略
2.将来自動車
3.排出権取引
4.生物多様性
5.産業政策(RPS制度・
バイオマス)
6.環境経営・経済効果
7.資源循環
8.漁業
資源枯渇、将来予測
9.社会と技術の融合
10.World Resource Table
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研究の目的は、望ましい社会(持続可能な社会)を実現するための市場、政府、市民の役割を明らかにすることです。(研究紹介PDF)
2010年オープンキャンパスポスター(PDF:1.53MB)
環境の経済学 「環境対策の経済的手法」
地球環境問題とは?
みなさんは地球環境問題というとどのようなことをイメージするでしょうか?ここでは地球規模の環境問題として気候変動を例にとり、経済学的な視点で話を進めていくことにします。
一九〇〇年以降の気候変動の原因としては温室効果ガスが有力です。大気中の温室効果ガスの濃度が上がると、地球表面の気温は次第に上昇し、地球上の気候は徐々に変化していきます。
気候変動により懸念されている事項として、水分野における降水量の変動や積雪・融雪パターンの変化、海水面の上昇が挙げられます。例えば、まず降雨量の変動が激しくなり、そして冬季の雪から雨への転換や融雪促進によって川の流れが変化することで、結果として渇水・洪水リスクが増大します。さらに、生態系や植生の分布も変化し、農林水産業もこれまでのパターンの変更を余儀なくされ、経済・生活環境にまで影響が及びます。
特に二~三℃を超える平均気温の上昇により、多くの地域で利益が減少し、対策費用が増加する可能性が高いと報告されています。つまり、気候変動が深刻化しないような社会的に最適な温室効果ガスの排出水準があるとすれば、現在はその最適な水準を超えて温室効果ガスが排出されている状態です。
経済学が教える解決法
なぜ私たちは人類にとって望ましい排出水準を超えて温室効果ガスを排出してしまうのでしょうか。それは、生産者が自らの活動水準を選ぶときに、負の外部効果が働くためです。負の外部効果とは、市場経済を経由することなく第三者に及ぼされる悪い影響のことです。
こうした負の外部効果を克服する方法として、次の三つが知られています。第一の方法は、当事者間での合併や統合を行い、利害を一つの主体にまとめることです。温室効果ガスの例では、主体が国単位になります。この場合、排出国と被害を受ける国を一つに統合してしまうことになり、非現実的です。
第二の方法は、政府が汚染発生者の行動を直接制限し、汚染物質の排出に規制をかけることです。これは直接規制と呼びます。温室効果ガスの例では、そもそも規制水準をどの程度にすべきか不透明ですので、この方法は用いられにくいです。同様の方法に到達目標や一定の手順を踏むことを義務付ける枠組規制があります。これには被規制者に創意工夫の余地があります。
第三の方法は、市場原理を活かして負の外部効果を減らす施策です。これを経済的手法と呼びます。例えば、生産者の活動水準に応じて課税する炭素税や、所定量まで温室効果ガスを排出する権利を生産者に与えそれを取引する排出権市場(図1)などが挙げられます。
図1
国際的な対策措置
欧州では、欧州気候変動プログラム(ECCP)という気候変動枠組条約締約国会議を受けて発足した組織があります。二〇〇〇年に発足したECCPで、気候変動への様々な措置が採られています。主な対策の欧州連合域内排出量取引制度は、EU域内のCO2排出量取引制度で経済的手法の一例であり、域内の約四〇%のCO2をカバーしています。こうした国際会議の場で多くの参加国が受け入れ可能な温室効果ガス削減の枠組みを考えだすことは環境経済学者に課せられた最も重要な責務の一つです。
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