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概要
持続可能な開発目標(SDGs)に向けて実施する施策の有効性、さらに、それをどのように判断すべきかを、「新国富」という新しい包括的な富の指標により地域の豊かさを計測し、その持続可能性の客観的評価を明確にします。
「新国富」指標は、2012年に国連持続可能な開発会議(リオ+20)で初めて公表された「包括的な富に関する報告書(Inclusive Wealth Report)2012」に示された新たな経済な富を表す指標です。ノーベル賞経済学者のスタンフォード大学のケネス・アロー、ブループラネット賞受賞者のケンブリッジ大学のパーサ・ダスグプタ両名誉教授らや馬奈木俊介主幹教授を含めた22人の著者と、ハーバード大学のデール・ジョルゲンソン教授ら18人の審査委員会での審査を経て報告書は出版されました。
現在、広く用いられている国民経済計算システム(System of National Accounts:SNAs)は、消費や投資、雇用、財政支出など資源の一定期間の生産価値を表すフローを記録するものであり、一定期間の経済規模を表す国内総生産を測定するように設計されています。しかしながら、SDGsの持続可能性を判断するには、ストックである富を包括的に測定する新しいSNAsが必要です。この包括的な富(以後、「新国富」)は、経済の生産能力を測る手段であり、国、都市レベルの地域経済内における、人工資本(道路、建物、機械)、人的資源(教育、健康)、および自然資本(土地、漁業、気候、鉱物資源)の合計値であり、SNAsの問題点を解決する指標になっています。
例えば、自然資本を大きな比率で使い果たして一時的に国内総生産が増加しても、それに伴う持続可能性の低下(自然資本の枯渇)が統計上で明示されません。SNAsでは人工資産以外の償却を記録していないからです。国内総生産の増加に伴う急激な資源の消耗は、同時に「新国富」の減少、経済の生産能力の縮小を意味し、やがて国、ないし都市が消滅する可能性の増加を意味します。つまり、成長とは国内総生産の増加ではなく、「新国富」の増加を意味すべきであり、そのためにも「新国富」を世界中の国・都市で計測します。
日本だけでなく、世界的に見ても都市が抱える問題は、エネルギー、環境、健康・福祉、教育、災害など多岐に渡ります。このような複雑な問題が国、都市の富に対してどのような影響を与え、さらにどのようにすれば富を維持、増大させるように問題を解決できるかという道標を示すことが可能になります。
詳細リンク
1.新たな国連開発目標(SDGs)~「新国富」指標で測る豊かさの評価~/サイエンスポータル
2.持続可能な開発目標(SDGs)は有効か?~「新国富」指標で測る地域の豊かさと持続可能性の評価~(PDF)
自治体との提携
新国富指標の活用を目的とした水俣市との協定締結(平成27年12月1日より)
NHKニュース
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